江戸時代の地震・噴火 苦難を乗り越えたご先祖様 

 平成28年(2016)4月14日に熊本県と大分県で相次いで地震が発生しました。最大震度7を観測し、熊本県では合計50名の方お亡くなりました。改めて謹んでお悔やみを申し上げます。

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 この地震で、熊本城は天守閣の屋根瓦が崩れ、屋上に設置されていたしゃちほこが落下し、石垣が崩れるなどの大きな被害を受けました。熊本県では歴史的に見て大きな地震は過去になかったと一部で言われているようですが、実は熊本県に大きな地震は過去に何度も起こっていたようです。

 さて、日本全体に目をやりますと、江戸時代だけでも次のような大きな地震・噴火が発生しています。

・1611年。陸奥。会津大地震  死者3000人。会津若松城が被害。会津盆地下流で山崩れが起こり、この山崩れで阿賀川(あががわ。福島県・群馬県に源流があり新潟県を流れ日本海に注ぐ日本有数の一級河川。新潟県内では阿賀野川(あがのがわ)と名前を変えます)が堰止められて山崎湖が出現しました。山崎湖の水抜き工事には大変苦労したようで、出現から半世紀経過して保科氏の時代になってから何とかこの水抜き工事に成功し、山崎湖はなくなり元の姿に戻りました。推定マグニチュード7.0。
  
・1703年。関東。元禄大地震 鎌倉で600人、茂原で2500人死亡。相模湾周辺と房総半島の南端では最大高さ12m(熱海)の大津波が発生。推定マグニチュード8.2*関東大地震のマグニチュードは7.9と推定されています。これを上回るのですから地震の大きさに驚きます。  

・1707年。駿河。富士山宝永の大噴火。死者は確認されていません。噴火の降灰が降雨時に河川に流下・堆積して大氾濫を起こしたため、小田原藩は大被害を受けました。江戸にも降灰をもたらした歴史上最後の富士山の噴火。最後の噴火から300年経過した現在、一体どのくらいのエネルギーが富士山の地下にたまっているのでしょうか。

・1751年。越後。越後高田の大地震。高田地震とも。土石流、津波により死者数千人(高田藩)。推定マグニチュード7.7。

・1778年。伊豆。三原山の噴火(マグマ噴火、水蒸気噴火)。江戸に噴火音が届く。

・1779年。薩摩。桜島の大噴火。死者150人。300年ぶりの大噴火により田畑2万石が被害。1781年までに海底噴火により津波が発生し船が転覆する等の被害。

・1783年。上野。浅間山の大噴火。死者2万人。火砕流によって鎌原村(現在の嬬恋村)では一村152戸が飲み込まれ483名が死亡。浅間山の噴火により鎌原村は土石なだれに襲われ118戸、477人、馬165頭が一瞬のうちに流失し、台地にあった観音堂(嬬恋村鎌原492)だけが唯一の建物として残り、その後、生き残った村民90数名が被災者の供養を続けながら、村の再建を行いました。

・1804年。出羽。出羽の大地震。象潟地震(きさかたじしん)とも。死者400人。8000戸全壊。津波を伴った大地震。江戸時代までは砂洲によって外海と切り離されてできた湖があり、景勝地として「東の松島・西の象潟」と言われ、kisakatako
松尾芭蕉の「奥の細道」でも「松島は笑ふが如く、象潟は憾(うら)むが如し。」と言い表され「象潟や雨に西施がねぶの花」と読まれましたが、地震による土地の隆起でなくなりました。

・1847年。上信越。上信越の大地震。善光寺地震とも。推定マグニチュード7.4。死者数千人。犀川が地震で堰き止められ大洪水が発生。善光寺領とその周辺は大きな被害を受け、広範囲にわたり地すべりや山地崩壊が発生し、大量の崩壊土砂による川の堰き止め、決壊、洪水の発生という二次災害による被害も大きかった。

・1854年。東海。安政東海地震。推定マグニチュード8.4。被害は関東地方から近畿地方に及び伊豆下田は津波で全滅。死者3000人。東海道筋を中心に各地で火災が発生し信州松本で城下の家が大方潰れ、大火により350軒余焼失
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・1855年。江戸。安政江戸大地震。推定マグニチュード6.9.死者1万人。1万4000戸全壊。本所・深川・築地で無事な家屋は見当たらなかったと言います。また、江戸城も破損し、将軍家定は城内の庭園に避難したと伝わります。

 上記のように江戸時代にも大地震・大噴火がありました。特に幕末の1853年(嘉永6年6月3日)にペリーの黒船が来航しました。この直後の1855年の安政の大地震は、あわただしく変化する時代の真最中に発生した大地震であったわけで、江戸幕府に大きな影響を与えたと思われます。 

 このように大地震・大噴火は私たちの生活や生命を一変させる非常に大きな力を持っています。しかし、なんとか私たちのご先祖様がこうした自然による大きな危機を乗り越えて生き延びてくれたお陰で現在の私たちがいます。そう思いますと、ご先祖様に対する感謝の念が自然に出てまいります。

 こうした自分自身のご先祖様をよく知るためには戸籍調査や、さらに江戸時代まで遡る現地調査が有益です。もし、まだ家系図をお持ちではないという方がいらしたら、そろそろご準備をされてご先祖様のご供養をされるのもよいのではないかなと思います。

(2016年11月5日)

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