歴史ブログ 美しい地名 そうでない地名(1)

先祖調査で戸籍を遡りますと、合併などにより本籍地の名称が変わっていることがあります。
この合併の大きな動きを新しい順に言いますと「平成の大合併」があり、その前ですと「昭和の大合併」「明治の大合併」があります。
この中で、「これはどうなんでしょ」という地名も出来ました(あくまで私の感想です)。

そこで、問題です

<問題>
「仮に、山梨県西部の白根町、若草町、芦安村、甲西町、櫛形町、八田町がこれから合併する場合、あなただったらどのような新名称にしますか」

B22

<お答え>
良くありますのは、合併前の市町村名称から一文字ずつ頂いて合成するもので、千葉県習志野市の「津田沼」は、その昔は、谷「津」村、久々「田」村、鷺「沼」村がありました。これらが合併し一文字ずつ頂いて「津田沼」となりました。

しかし、上記の問題の場合ですと、6町村が合併しますので一文字ずつ取ると6文字と長くなり、最初の一文字目だけを合成しても「白若芦甲櫛八市」となり、書くのが面倒でこんな住所に年賀状もお中元もお歳暮も送りたくはありません。

実は、この問題は平成15年(2003)4月に実際に発生したもので、新名称は「南アルプス市」となりました。

目立つという点では素晴らしいのですが、各地に古くから伝わる地名には長い歴史が含まれており、全くこれらを切断するような新しい名称はとても残念です。

例えば京都市が「エンペラー市」に変わったら、どこの国の市かと嘆かわしくなります。そもそも「アルプス」などと言う言葉は明治以降に使用されたものです。山梨県には有名な戦国武将の武田信玄公がおりました。古い「甲斐」と言う名称もとても素敵だと思います。

私は、現在、東京都調布市に住んでいます。近くには古いお寺の深大寺や多摩川が流れています。もし、「多摩リバー市」のようになるようなことがありましたら、きっと急いで引っ越しをすると思います。
さて、皆さんがご先祖様を探された場合に、どんな本籍地の名称が出てくるのかとても楽しみなことだと思います。出来れば昔からの地名を尊重した形で受け継がれていることを願います。それによってご先祖様と日本の歴史がさらに身近に感じられのではないでしょうか。

(2016年1月6日)

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